楽しみにしていたサイクリングイベントが、よりによって雨と重なってしまったという経験はないでしょうか。今年の9月は特に、雨に泣かされた方も多いはずです。10月に入ってからも、カラッとした秋晴れに恵まれる日が少ない印象です。
久しぶりに晴れたと思って出掛けるまでは良かったけど、いざ河川敷のサイクリングロードに出てみると、土手から染み出した雨水が道幅いっぱいに水たまりを作っていた、という光景も珍しくありません。林道や峠のライドでも、山に溜まった雨水があちこちから染み出し、路面を伝って流れてくることがしばしばあります。
雨は降っていなくても、下からの跳ね上げで、結局シューズの中は水浸しに。こうなると、濡れたソックスが肌にまとわりついて気持ち悪いのなんの。肌がふやけて靴擦れを起こしやすくなるし、足先が冷えて感覚が鈍ってくるなんてことに。
みんな同じような苦労をしているはずなのに、雨対策のシューズカバーって、探してもなかなか「これ」というものが見つからないんですよね。
ウェットスーツの素材で丸ごと包み込む
そこで注目していただきたいのが、今シーズン登場した「THERMO RAIN BOOTIES P1」です。その名の通り、雨のライドにフォーカスしたシューズカバーです。

ご覧の通り、一般的なシューズカバーよりも丈が長く、スネのあたりまでしっかりガードしてくれます。隙間なく、ビタビタにフィットします。

2枚のパネルをセンターで縫い合わせているのですが、ウェットスーツ同様、生地の厚みを利用して、裏面に糸が貫通しない方法(ブラインドステッチ)で縫われています。これは、縫い目が水の通り道にならない工夫。実際に裏面を見ても、縫い糸は貫通していません。

そして、本製品のもう一つの機能が、肉厚なネオプレンによる断熱効果です。生地の厚みと、隙間のない密閉度の高い作りから、冬用のシューズカバーと遜色のない暖かさが期待できます。ネオプレンは柔軟性だけでなく耐久性にも優れた素材で、着脱時の擦れやペダリング時の摩擦にも強いタフな作りも魅力の一つです。

アソスが定義する季節区分は、一般的な冬向けの「WINTER」です。厳冬向けの 「ULTRAZ WINTER」のシューズカバーほどではありませんが、防水性と保温性をあわせ持ち、オールシーズン使えるという意味では、かなり汎用性の高いシューズカバーといえます。唯一、ネオプレン素材の弱点を挙げるとすれば、内部の蒸れを逃がす力はやや劣るという点です。
歩けるシューズ(SPD)にも対応
THERMO RAIN BOOTIES P1は、SPDシューズにも対応している点も見逃せません。

底面を見ると、クリートの開口部がパイピングされたギャザー仕上げになっています。シューズを履くと、この部分が広がり、ソール面のグリップ(歩行用の滑り止め)に干渉しない作りになっています。

踵の部分も同様に穴が開いていて、真ん中を繋ぐゴムバンド以外は、底面に生地が回り込まない構造です。
SPDシューズに対応したシューズカバーはまだ少ないので、SPDシューズを愛用している方には刺さるポイントだと思います。もちろん SPD-SL のロード用シューズにも装着できるので、普段どちらのシューズを使っているかに関わらず、選択肢に入る一枚です。
履き方にちょっとコツがあります
THERMO RAIN BOOTIES P1 には、開閉のためのファスナーがありません。装着方法は少し特殊で、まずシューズを履く前にブーティーの開口部から足を入れ、クリートの穴から足首が出る位置まで引っぱり上げます。それからシューズを履き、ブーティーを下ろすようにして、かかとからつま先の順に被せていきます。

イラストの通り、ブーティーに先に足を通しておく、というのがポイントです。「大変そう」と感じるかもしれませんが、素材に伸縮性があるので、ゆっくり丁寧に通せば大丈夫。私もいろんなタイプのシューズカバーを試してきましたが、結局のところ、着脱のしやすさに関してはどれもそんなに変わらない印象です。
ただ、足首をスムーズに開放できるファスナー式と比べると、脱ぐのに少し手間がかかります。ライドの途中でお手洗いへ、また、ランチ休憩でお座敷に上がる、そんな場面では、ファスナー式よりも遅れをとってしまいます。この点は正直にお伝えしておきます。
まとめ、こんな時にあると安心
- サイクリングイベントで、事前に雨予報がわかっているとき
- 雨の日の通勤・通学ライド
- ブルベやロングツーリングなど、天気が悪くても途中でエスケープできないとき
- 雨上がりの河川敷や林道など、水たまりや染み出しを気にせず走りたいとき
また、シューズの汚れ・キズ防止にもなるので、お気に入りのシューズを大切にしたい方にもおすすめです。ウェットスーツ素材による高い防水性と、SPD / SPD-SL両対応という懐の深さを兼ね備えた一枚は、ありそうでなかなか見つからないジャンルだと思います。まずは「こんな選択肢があるんだ」と知っていただけたら十分です。天気予報に裏切られることが多い今日この頃、足元の備え一つで気持ちよく走れる日が増えるかもしれません。

常陸 識考HITACHI NORITAKA
1973年埼玉生まれ埼玉育ち。誰もいないひっそりとした林道を一人彷徨うロマン派サイクリスト。その実態は一緒に走る仲間がいないだけという噂も…。奥武蔵や秩父あたりで目撃情報あり。四十歳過ぎてから筋トレに目覚め、自分至上最高ボディを更新中。チャームポイントは腓腹筋。
















